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連載コラム
「全国の塾長、塾講師にむけて
 これだけは言っておきたいこと」

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連載コラム 「全国の塾長、塾講師に向けてこれだけは言っておきたいこと」

第16回


【成功した大規模塾】
シリーズ2
ここで言う成功した大規模塾は理想型ではないことを最初に断っておこう。「俗に言う成功した大規模塾」といっておこう。寺子屋式で成功した小規模塾は個人的には、私の中では腑に落ちる感覚を持っているが、大規模塾にするという決断は相当なものであろうと一方ではその英断に賛辞を送りたい。
大規模塾の必須条件
人による求心力…トップの求心力が不可欠である。東京の最大手塾Aゼミナールは現在生徒数推定69000人である。大規模塾にするという代表の決意が最初からあったとは思われない。大きくしたのじゃなくて大きくなったといったほうが正確であろう。このAゼミナールのトップは塾の理想型を小規模(800名)の時代から今日まで追及してきたといっていいだろう。30年前に5000名の塾生をあっさり人に譲り、新しく700名規模の生徒数で一からやり直した。彼の思想は「教育>経営」に徹したのである。寺子屋の延長線上に69000人があったと言える。
10人の成功した塾長に聞きました。その共通した6ツの条件とは:

  1. トップに人望・信頼・尊敬がある。2.目標・ビジョンがある 3.計画性がある 4.人材育成力がある 5.制度・ルールがある。6.合格へのシステムがある

 大規模塾の強み・組織の一例

  1. 学力向上のシステムの構築:小規模時代から着手しないと大規模にはならない。ある日突然に大規模になったわけではない。トップの目標・ビジョンがあってこそである。講師力・システム力があるのが最善ではあるが、先ずシステム力である。講師力はシステムがあってこそ標準化したサービス品質管理ができるのである。寺子屋方式は講師力で充分持つが、その講師がいなくなれば寸時に崩壊するのである。第一私が見る限り、塾での優秀な講師はまずいない。ほとんどの塾は講師を教育するという考えはない。(学力向上のシステムは機会があればこの誌上で紹介したい)
  2. 役割、責任、権限を明確にした組織の構築
    1. わずかな人数による戦略統括会議→グループ統括会議、CSR委員会、経営管理本部。
    2. 募集営業部…プロによる募集社員の教育の徹底。この時に必要なのは他塾との差別化商品の開発である。
    3. 開発・マーケティング部門の充実…Aゼミナールの成長要因の一つに市場の変化を早く捉えたマーケティング力がある。マーケティング力による、チェーンオペレーションの経営技術、広告のうまさ、資金(回転)力、合格を生み出す指導システム、プロパガンダ、塾独自の専門教材、熱心な保護者(信者)の獲得手法、カリスマ講師の獲得とその講師によるイベントの連発講演等
    4. 顧客サービス部…問い合わせの一括管理、クレームなどの相談も専門で受ける。この部署に来るクレームはほとんどが講師に対する批判である。いわゆる不良商品である。この窓口から後に述べる「人材開発部」に講師採用基準のマニュアル作成の重要なヒアリングとなっている。大事なことはクレームを早期に解決することが退塾生を出さないことにつながる。ほとんどの塾は場当たりで、組織立って対応していない。新規の塾生を募集することも売る上げからいっても大事だが、もっと大事なのは退塾生を出さないことである。
    5. 人材開発・研修部…膨大な数の講師、その採用と管理、品質保持のための研修。講師一人一人の自主性と能力に任せるにはあまりにも膨大すぎる。研修のマニュアル化、つまりどこを切っても同じ絵が出てくる金太郎飴教本が必要である。
    6. 教務部…教材開発、カリキュラム管理、新指導システム開発、
    7. 進学情報部…進学情報、学校に対する宣伝・啓蒙、
    8. 人事部…幹部の育成と適材適所配置
    9. 財務部・経理部
    10. コンプライアンス室…社会的責任と法的責任
    11. 物流部…塾内の物流など
    12. システム管理部…IT関係等

その他、広告宣伝部、運営課、業務改革課、教室開発課、販売促進課等
   以上のような組織を最初から整えていたわけではない。生徒の増加に比例して、計画的に、無駄なく設置していった。
  大手塾の問題点…確かに組織は出来たが、この組織を動かすのは人である。これだけ大きくなるとほころびが出てくる。特に講師の資質である。システムは出来たのであるが、それを活用する講師に力量がない。塾の評価は大手であろうと、中規模、小規模であろうと最終的には、合格実績である。つまり生徒の、親の満足度である。以上のような大規模組織は、いわば隠れた部分であって、表に出るのは先生である。これだけの講師を育てるのは不可能である。一定の教育はするが、実際は講師任せであるのが現実である。その結果として、最近退塾生がかなりの数で増え続けている。ほころびが出てきたのである。
  強者VS強者の時代…強者とは?
 強者VS弱者の時代は90年代半ばから続き、現代は強者VS強者の時代に入った。どのような小さな町にも塾はある。塾のない町を探すのは不可能であろう。結構名の通った看板があっちこっちに見られる。場所に関するマーケティング力は役に立たない。差別化は塾が乱立しているところにこそ発揮されるのである。当たり前の補習塾、進学塾は絶対に大手塾には勝てないのである。教材+講師+システム=合格率である。どんな教材であるか、どんな講師であるか、どんなシステムであるかを追及することが勝者になれるのである。大手の合格率にはまやかしがある。1万人の生徒数の合格率と500人の生徒数の合格率同じなら、明らかに500人塾の合格率は群を抜いているのである。強者VS強者の時代だからこそ、こだわりのある小規模塾に勝機があるかもよ。強者VS強者の時代は成功の条件というよりも生き残りの条件であろう。教室の利益率がどんどん下がっている。教室がなく利益率が上がれば強者と言える未来の商品、おもろいweb授業やeラーニング思考もその一つといえる。


(株式会社ルックデータ出版発行「塾ジャーナル」掲載)