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連載コラム
「全国の塾長、塾講師にむけて
 これだけは言っておきたいこと」

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連載コラム 「全国の塾長、塾講師に向けてこれだけは言っておきたいこと」

第15回


【成功した塾・失敗した塾】  
  シリーズ1

 ここに挙げる「成功した塾・失敗した塾」のモデルは小規模塾、中堅塾、大手塾のご意見と私の全国講演行脚の目で見た集約された結果の結論である。もともと塾の語源は「門の脇の堂舎(建物)で子弟を教授する私設の学舎」の意である。ひっそりと、静かに、したたかに、厳しく、やさしく師と弟子が向かい合って、小さな堂舎の中で、村を、町を、国を、世界をどう見るか、どう変えるかを学び、大きな世界観を育む学び舎であった。そのためにどうしても知識が必要であった。この哲学を達成するために日夜寝食を削って、知識をむさぼり習得したのである。

成功した塾・・・小規模塾:絶対変えてはいけない理念・哲学がある。補習塾なのか、進学塾なのか。神戸で補習塾に徹底した塾がある。周辺の生徒だけを対象にし、学校の定期テスト対策を徹底している。補修、再テストを徹底することで、基礎学力の向上に力をいれている。この補修、再テストという勉学の行程は地味な粘り強いもので、生徒にとっては、同じことを繰り返す面白くない勉強のジャンルである。この塾では、この行程を教える側が一歩も引かない姿勢で最後までやらす。いやがって辞めたらどうしようと思ったこともあるが、この寺子屋塾の指導方針を貫いている。一クラス定員最大18名に限定しているのは、目が行き届く限界だと考えている。学校のテストは基礎学力テスト問題といって過言ではない。要するに、学校のテストに高得点を取らすことによって、自信をもたらし、次のステップに気持ちを高める作戦だ。現に、小学6年生は名門私立中学に、中学3年生は地元の進学校に希望者の4割は入学させている。しかし、あくまでも基礎学力に重点を置くことがこの塾の方針で変えない姿勢を貫いている。ちなみにこの塾の小、中併せて生徒総数は120名である。講師は塾長と専任の講師1人、奥さんの3人である。授業料は周辺では高い。費用対効果では保護者は安いとの感想。現在入塾希望者が待機中である。塾激戦区でもある。塾長に、「塾人としての生きがいは」と聞いたところ、「教え子達と飲みながら、近況を語り、思い出話をすること」と答えてくれた。実に明快ではないか。難関大学進学を専門にやってきた私が常に思うことは、偏差値アップの最大の要因は基礎力である。問題は何をさして基礎力というかである。基礎学力の中身である。難関につながらなければ基礎学力とは言わない。

成功した塾・・・中堅塾:(500人から1000人の生徒数)。1.トップに理念、哲学がある・・・最初は一教場で始まり、実績と信頼を得て、二教場といった具合に必ず成功がなければ次に展開しない。多店舗展開による収益を目的にしていないのである。2.徹底した教師の教育である。特に、地方の塾は人材の確保は非常に難しい。自前の教師を鍛えるしか方法がないのである。京都府下のある塾長は一ヶ月ごとに代わる講師に私が講演するたびに頭を悩ましていた。しかし、この塾長は教育しても駄目な教師を平気で切ってきた。そのため、塾長の授業は月曜から土曜日まで休みなしである。良質の授業を提供するために、人材開発と講師教育にかなりの予算を使ったのである。広告宣伝費より。特に、地元から大都会の大学にいって、そこで就職した人の故郷再生のためのカムバック組みをターゲットにして、粘り強い説得をした。そして現在は4教場を持つに至ったのである。生徒数700名 3.生徒と親のニーズをこよなく追求。有名中学、有名高校の進学だけではなくて、生徒にあった学校選びを親、生徒と徹底的に話し合い進学先を決める面倒見のいい塾として地域に定着した。 4.年間カリキュラムと教材:カリキュラムについては年間固定しないで、生徒の進路状況をみて、出来る生徒用の教材、出来ない生徒用の教材をあらかじめ年度当初に用意しておく。学力不足の要因は一定の知識を詰め込んでいない観点から、復習テストの繰り返しで知識量を増やし、同時に基礎学力をつける。教材は市販のものを使わないで、その地域の小学校、中学校、高等学校の教材を参考にして自主編成教科書を作成。また家庭学習のスケジュール表を渡して家庭での勉強法を学校の勉強を考慮して作成。 5.活知識人:勉学以外に生きた知識人を目指して、新聞等を使って、社会の出来事、環境、世界の子供達、時に経済のことをわかりやすく写真等を使って提供。またこの時間を利用して、躾、挨拶、親子関係等の道徳教育も押し付けがましくなく対話形式でやる。 6.イベント:外部からその道のプロを招いて、暗記の仕方、やる気を起こさせる各教科の勉強法といったイベントを親も参加しての勉強会の実施。

成功した塾・・・大手塾(10000人以上) 大手塾の経営者は元は小規模、中規模と経験を経てきた強みを持っている。生徒一人一人を大事にして小規模塾の理念、哲学を広められないかといって実現したのが最大手塾東京のAゼミナールである。最近会ってお話をしましたが、いまだに代表から売り上げの話を聞いたことがない。子供にとって何が必要かを先ず考える。先日もセンターはテクニックで取れると私が言ったところ、すぐに事実上経営する私立高等学校にすぐに講演に言ってくれという要請を受けた。私が聞いたおもしろいエピソードがある。それは、これだけ大きくなると(現在69000名)、あの手この手で売り込みに来る。入り口を閉めてしまえば、騙されることはないが、情報も入ってこない。入り口を開けておくと、情報も入ってくるが、騙されることもある。つまりこの塾の代表は「騙され予算」も致し方ないと断言した。これだけ大きくなると数人のシンクタンクだけでは運営が出来ない。教育者、経営のプロ、マネージメントの出来るプロが必要になる。先生をつまり図体は大きくなったが、このAゼミナールはいまだに小規模塾であるといいたい。金太郎飴である。どこを切っても同じ絵が出てくるそんな商品を提供している。すでに公教育の一端を担っているのである。  次回はこの大手塾が成功した手法を分析したい。

 


(株式会社ルックデータ出版発行「塾ジャーナル」掲載)